『ことばはボクらの音楽だ! マルティリンガル習得プログラム』

榊原 陽/著
明治書院/刊
定価1,620円

根本にある言語習得のポイントは気持ち

 何年か前に乗継便を待つアメリカの飛行場で忘れえぬ子どもたちのグループに出会った。わいわいがやがやと飛行機の到着を待っているどこにでもいる日本の小学生。しかし、驚いたのは彼らが話す言語という道具。日本の小学生と感じたのは日本語を話していたからだが、ある話題の口切の子どもが英語で話し始めればどの子も英語で応え、韓国語が出てくると皆が韓国語で話し始めた。その子どもたちの脳内で何が起きているのか俄かに理解しがたいものだった。 「ヒッポファミリークラブ」のロゴ入りTシャツを着たマルティリンガルなスーパーキッズ集団だった。

 つい最近、東京大学が毎年開催する「高校生のための金曜特別講座」で教養学部の酒井邦嘉教授の講座を聴講した。脳を科学している教授で言語の設計図は生得的な人問特有の能力であるというノーム・チョムスキー理論を解りやすく説明してくれた。言語の種類は地域性が関係するが、どの言語でも伝えたいことを相手に伝える道具としてある。それは無条件に聴くこと話すことが繰り返される豊かな環境があれば多言語習得は決して難しくないということなのだ。

 現在ブラジルからの留学生と話をする機会がある。彼女は母国語のポルトガル語、第二外国語の英語、母国語と類似するスペイン語も話せるばかりか、日系家庭という環境で流暢な日本語を話す。近いうちにフランス語も習得するという。根本にある言語習得のポイントは愉しい時など鼻歌が出たり気持ちがアップテンポになったりする、誰かに気持ちを伝えたくなることそのもので「言葉はボクらの音楽だ」の一言で説明がつく。

(評・明星中・高校図書館司書教諭 鬼丸 晴美)

(月刊MORGENarchives2014)

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